多田統一の”研究所めぐり”

 その2 航空宇宙技術研究所

 私がここを訪ねたのは、2001年(平成13年)6月6日のことであった。この日の新聞朝刊に、マニラ発のノースウエスト航空28便ボーイング747・400型ジャンボ機(乗客乗員410人)が、右翼付け根の車輪が出ないまま成田空港に緊急着陸した事故のことが報じられた。幸い、乗客乗員にけがはなかった。東京都調布市深大寺東町にあるこの研究所は、1955年(昭和30年)7月総理府の付属機関として発足した。 2001年(平成3年)1月文部科学省の所管となり、同年4月独立行政法人航空宇宙技術研究所となった。私は、防音建屋の超音速エンジン試験施設と展示室を見学した。成層圏プラットフォーム飛行船の模型、小型自動着陸実験機の実物、ターボファンエンジンなどを見ることができた。宇宙旅行を体験できるスペース・ミッション・シミュレーターで、私も実際に操縦してみたが思ったよりも難しかった。見学者の名簿を見てみると、生命保険会社や情報関連会社、精密機器の会社からの者が多かった。内容からして、小・中・高校生の総合学習よりも、教員の現職研修での活用の方が向いているのではないかと思った。2003年(平成15年)10月、航空宇宙技術研究所宇宙科学研究所宇宙開発事業団の3機関が統合して、独立行政法人宇宙航空研究開発機構が発足した。調布航空宇宙センターでは、スペース・ミッション・シミュレーターによる体験型展示、YS-11の屋外展示を見ることができるが、ホームページによると新型コロナウイルス感染拡大予防のため現在団体見学の受け入れは休止中である。